【ネタバレ注意】ガラスの仮面第32巻その①【ゲームセットだな。チビちゃん。】

      2021/08/07

Pocket

「こい!ジェーン!」

四つ這いになったマヤと、上着を片手にした速水真澄。
その様子をフラッシュする報道陣。

「な・・・なんなのこれはいったい・・・
 今日はわたしの舞台の初日なのよ
 こんな・・・こんな馬鹿な・・・!」

自身の初日を祝う会がジャックされうろたえる円城寺まどかさん

床に落ちた肉を見て唸り声を上げるマヤ。
その様子を会場のあちこちの客も注目する。

「さあどうした?狼少女!
 エサは床の上だぞ!欲しければ取ってみろ!」

「この男・・・私を人前で笑い者にする気なんだわ・・・
 なんて下劣なの・・・!
 見てらっしゃい!そうはさせないわ・・・!」

闘牛のごとく上着を振り回す速水真澄とそれを避けるマヤ。
鮮やかな身のこなしに、会場からは感嘆の声が上がる。
さらに唸り声を上げるマヤに、怯えるものも。

「ジェーン・・・あたしはジェーン」

「それだ・・・!その顔だ!
 それがジェーンの顔だ!いいぞ北島!」

マヤの芝居を見てご機嫌の黒沼先生。

「あの二人を止めるなよ桜小路。
 とめたらぶんなぐるぞ!」

ヒートアップする会場。
さらに焚かれるフラッシュ。

「馬鹿な・・・」

後の祭りの円城寺さん。

なぜかうろたえる小野寺先生と
冷静に見つめる姫川亜弓。

「真澄さま・・・」

速水真澄のご乱心に若干引き気味の紫織さま。

肉に向かってダッシュするマヤ。
しかしいち早く先に回り込み肉を蹴飛ばす速水真澄。
さらに向かっていこうとするマヤ
それをなぐりとばす速水真澄。
もはや犯罪や。

「マヤちゃん!」

慌てて助けようとする桜小路くん。

「彼女に手出しするな桜小路。
 邪魔をするなといったろう!馬鹿者!」

今にも灰皿を投げそうな黒沼先生。
あんたも無茶苦茶や。

「その通りだ。関係のないものは引っ込んでいてくれたまえ、桜小路くん・・・!」

倒れたマヤではなく、マヤの巻き添えになった女性客に手を差し伸べる畜生ぶり。

「ようしその意気だ。こい・・・!ジェーン・・・!」

マヤが向かうと咄嗟に肉を拾い上げ
階段の上へと投げる。

「さあどうした?
 エサは階段の上だぞ。
 それとも尻尾を巻いて逃げるか?
 おっと尻尾はなかったな。」

嘲笑する速水真澄。
そんなにおもしろいか。

怒りをかみしめたマヤ。
飛びつくと速水真澄の右手首に噛み付く。
そして上着とともに速水真澄の横をすり抜けた。
その姿に歓声が上がる。

「な・・・なんなの・・・
 今あの子が狼に見えた・・・本物の狼に・・・」

パーティージャックされた円城寺さん、
忠実にマヤの芝居の解説をしてくれている。
そしてこのマヤの狼っぷりには
全日本演劇協会理事長も感服した様子。

速水真澄の上着を床に踏みつけるマヤ。
そして速水真澄に背を向けると階段を上っていく。
思わず後ずさりする観客。
そしておもむろに階上から肉を加え降りて来た。

「ゲームセットだな。チビちゃん。」

すると肉の豪速球が速水真澄の頭に直撃。

「これで気が済んだでしょ!速水さん!
 あなたなんて最低だわ!
 大っ嫌い!あなたなんて死んじゃえ!」

かなりの怒りの言葉を発するマヤ。
無言かつ白目で受け止める速水真澄。

泣きながら出ていくマヤ。

「速水さん、僕はあなたを今まで立派な方だと思っていました。
でもあなたは紳士じゃない・・・!軽蔑します!」

事務所の社長に悪態をついてマヤを追いかける桜小路くん。

しかし会場は速水真澄の悪行についてはあまり触れられていない。

  • すごい狼少女でしたわね。あれが演技だなんて・・・
  • 目が離せなかった
  • 一体どんな芝居なのか、見てみたいもんですな。
  • 「イサドラ!」よりおもしろそうですわね。
  • 今日の芝居よりわたしは印象に残りましたな。
  • 惜しい・・・芸術祭に参加せんとは
  • あの狼少女だけでも話題になったろうに・・・
  • アカデミー芸術祭実行委員会は目がないとしか思えん・・・

しかしそんな会場の声は速水真澄の耳には入らない。
屋外にて泣いているマヤとそれを慰める桜小路を見て
そして自身の嫌われっぷりに心を痛める。
こうなることはわかっていただろうに。

「今の狼少女を見て今度の君の芝居に期待を持ったよ黒沼くん。
 ぜひわしを招待してくれたまえ。」
「理事長」
「あの少女の芝居はなぜ芸術祭に参加せんのだね?
 アカデミー芸術祭の実行委員長だろう?
 君は目がなかったのかね?」
「社長!」

全日本演劇協会理事長と、アカデミー芸術祭主催者のフジミ食品社長が
「忘れられた荒野」に興味を持った。

そんな喧騒の中会場を後にする速水真澄。
報道陣に囲まれ取材される黒沼先生。

「マヤ・・・やはりすごいひと・・・・
 イサドラの舞台など消し飛んでしまった・・・
 マヤ・・・はやくあなたと戦いたい・・・!」

「こんな・・・こんな馬鹿な・・・」

マヤを最も評価する人と、消し飛ばされてしまった人。

そしてその頃、この舞台をプロデュースした速水真澄は
屋外の喫煙所にいた。

「いつ頃からこんな癖がついてしまったんだろう・・・?
 自分の心を取り戻すのに一人になれる場所を探すようになったのは・・・」

といいつつもそこは駐車場だから車も人も通る。

「子供の頃から本心を悟られまいと人前では感情を抑えて来た。
 人前で感情を見せる時それは大抵何か目的があっての演技だ・・・
 本心のものじゃない・・・」

結構本心見せまくりやし、水城さんにはズバズバ言い当てられている。

「変だな・・・そういうことには慣れていたはずなのに、なぜか疲れる・・・」

脳裏には速水真澄に「死んじゃえ」とまで言ったマヤが浮かんでいる。
そして右手には血が。

「あいつ・・・思いっきり噛んだな・・・マヤ・・・」

そしてその傷口に口をあてて恍惚となる。

「真澄さまこんなところにいら・・・」

速水真澄を探してやって来た紫織さま固まる。
そら、婚約者が手をぺろぺろしているから。

「あの・・・おじゃまではありませんでしたか?
 (なにかしら?声をかけてはいけなかったような・・・)」

この方お嬢様だが洞察力はかなりのものがある。

「いいえそんなことはありませんよ。
 先ほどはあなたにみっともないところをみせてしまいましたね。
 僕を軽蔑しますか?」

「いいえ、あなたは何の理由もなくあんなことをなさるお方ではありませんわ。
 きっと何かわけがおありだったのでしょう?」

そして速水真澄の手をとり、傷口にハンカチを巻く。

「傷口を・・・なめたりなどしてはいけませんわ。真澄さま・・・」

「紫織さん・・・」

傷口をなめていたのにも、理由があると察知している風である。

 

 
ちゅうわけで今回、速水真澄ワールド全開である。
狂言回しとして、その場の空気を支配、冷徹になろうと悪役を買って出る。
そしてマヤの怒りを爆発させ、円城寺まどかのパーティーをジャックすることに成功。
目論見通りマヤの芝居が注目を集め、「忘れられた荒野」が話題となる。

しかし「大っ嫌い死んじゃえ」とまで罵られ、
フライドチキンを顔面にぶつけられ、
マヤを慰める桜小路に嫉妬し、
そして凹む。

さらには一人になって、自分語りを始め
最終的には婚約者にぺろぺろ現行犯を見られる。

この場に水城さんがいたら完璧だったのに。

つづく。

 - あらすじ・ネタバレ注意, 第32巻・紫の影(5)