【ネタバレ注意】ガラスの仮面第32巻その⑥【俺の中の嵐も・・・】

      2021/09/13

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容赦無い暴風雨の中始まった「忘れられた荒野」初日。
観客は速水真澄ただ一人。

捕まったジェーンと観察するスチュワートを軸に
芝居が展開していく。
そのときロビーからでかい音が。

「大変だ!玄関のガラスが飛ばされて来た看板に・・・」

新装の雨月会館早くも破損。
割れたガラスからは風と雨水が吹き込む。

「おい!誰かトイレのドアをボルトを外して持ってこい!
 ここを塞ぐんだ!」

黒沼先生の指示のもと補修を行う一同。
メイド役のウェイトレスの彼女も手伝ってガラスの破片を拾う。

「気をつけろ!お前は役者だぞ!
 体に気をつけるな!」

舞台上では芝居が進行。
毒だんごを食べて死にそうだったのを
スチュワートに看病されてから懐いてしまったジェーン。
ジェーンとスチュワートの距離が芝居の中で近づいて行っている。

「さあおいでジェーン!ここまで来るんだ!」

二本足で立って歩くジェーンとそれを手伝うスチュワート

「停電だ!」

場内が暗闇に包まれる。
悲鳴をあげる一同。ええんかい

「騒ぐな・・・!懐中電灯を探してこい!」
「危ない、コードに足をひっかけるなよ!」
「ライトに気をつけろ!」
「誰だ!ぶつかるのは!」

舞台上および袖はパニック。
その声は客席の速水真澄にも聞こえている。

暗闇の中を手探りで懐中電灯を探す一同。
どうやらこの界隈一帯が停電らしく復旧の見通しもない。

「どうしましょう中止しましょうか?」
「うーむ・・・中止かやむをえんな。ここまで来たというのに」

度重なるアクシデントに頭をかかえる黒沼先生
ちょいちょい中止を進言する弱気なスタッフが一人いる。

誰かがみつけてきた懐中電灯で舞台上を照らす黒沼先生。

「うっ!」

驚く共演者、スタッフ一同

「マヤちゃん・・・!」

「マヤ・・・!」

なんとそこには白目で立っているジェーン。

「ずっとジェーンのままだったのか?
 この暗闇の中で・・・」

「マヤちゃん・・・君はずっと演技し続けていたの?
 舞台の上では君はジェーン・・・
 幕が降りるまでジェーンなんだね・・・!
 それにひきかえ僕は・・・
 君のライバルなどと思い上がっていた自分が恥ずかしい・・・!」

手を叩くと気合を入れ直し芝居を再開するスチュワート
スタッフは舞台上を照らすように懐中電灯をいくつかセットする。
他の出演者も芝居を続ける。

「芝居が動き出したか・・・
 この暗がりの中で演じるというのか・・・
 この暗がりの中で・・・・!」

芝居はさらに進行。
スチュワートの時には厳しい教育で
人間としての暮らしと心を育むジェーン。

「スチュワワァ・・・」

「そうだよジェーン!
 その青いスカーフはスチュワート僕のだ!
 スカーフについているこの匂いは僕の匂いなんだ!」

「スチュワワァ・・・」

「そうだよ、スチュワート、それが僕のことなんだ!ジェーン」

「ジェーン!」

「そうだよジェーンだ!それが君なんだ!
 僕たちと同じ人間の仲間なんだよ!ジェーン!」

ジェーンを抱きしめるスチュワート。
芝居とは異なる感情で衝撃を受ける速水真澄。

「君は人間なんだ」

その芝居を見る速水真澄の手が震えている。
芝居で抱き合う二人に嫉妬する芸能会社の社長。
どないやねん。

 

その頃もう一人嫉妬する人が。

「ええ・・
 真澄さまが家へ帰ってらっしゃらない?
 忘れられた荒野の舞台を観るために劇場へ・・・」

電話口で驚くのは紫織さま。
暴風雨の中出かけて行った婚約者もおかしいが
このタイミングで何の電話をするつもりだったのだろうか?

「信じられないこの台風の中を・・・
 あの少女の舞台を観るために・・・
 あの少女の・・・真澄さま・・・
 あなたにとってあの少女は・・・
 北島マヤというあの少女はいったい
 どういう存在なのですか・・・?」

まあ正常な反応であろう。
別荘には少女の写真集が隠されており
その少女の舞台を観るために
暴風雨の中劇場へ向かっている婚約者。
「少女」というのが異常性をなお掻き立たせる。

 

そんな出来事が起きているとも知らない異常者
芝居に没頭してる。

芝居はいよいよクライマックス。

「お別れの記念だ。君にこれをあげる。
 覚えているかいこの青いスカーフを
 君が初めて僕の名を呼んでくれた時のスカーフだよ。
 時々は僕のことを思い出しておくれ。
 さようならジェーン」

去っていくスチュワート。
人間の心を取り戻し、言葉もすこし話せるようになったジェーン。

「ハジメマァ・・
 ワタシ・・・ノナ、ジェーンデス・・・
 トシハ15サイ・・・
 ワタシハオンナノコデス・・・
 ワタシハニンゲンデス・・・」

スチュワートから渡されたスカーフを手放そうとしないジェーン。

「スチュワーァァー!」

「舞台の上と下では君はまるで別人だ・・・
 どうしてこれだけ激しくなれるのか・・・
 どうしてこれだけ我を忘れることができるのか・・・
 なんの打算もなくどうしてこれほどまでに生命を燃やせるのか・・・
 虹色の光の中で間違いなく君は生きている、チビちゃん・・・
 俺が羨ましく思えるほどに・・・」

芝居のクライマックスを見た速水真澄の感想。
芝居そのものに対してではなく、
我を忘れ芝居に没頭するマヤへの感想と羨望と愛情である。
いつものことながら。

「この俺がかつて誰かのファンになるなど考えも及ばなかった。
 君が俺の前に現れるまで俺にとって女優はただの商品だった。
 商品の人間らしい気持ちも感情も無視して来た・・・」

ファンにしては常軌を逸する援助を惜しみなく行なっている。

「それなのに・・・
 舞台の上のほんのひと笑み
 思いもかけず流れて来た視線・・・
 そんなものにこの俺が釘付けになるとは・・・
 こんな小さな少女に心を奪われるとは・・・」

単行本の二巻くらいから大体おんなじこというとる。

どれほどの時が経ったのか。
暴風雨の街、風が吹き込む劇場、静寂の客席
そこにたった一人だが大きな拍手が鳴り響く

「どうしたんですみなさん、
 僕はアンコールしているんですが。」

意外な展開に慌てて舞台上へ現れ挨拶する出演者一同。

「いい芝居でした。
 千秋楽まで頑張ってください。」

「あ・・・電気が・・・
 停電が直ったんだわ、今頃になって・・・」

「おい・・・!おいまてよ速水の若旦那!」

出て行こうとする速水真澄を肩を組んで止める黒沼先生。

「何もないが残ってくれないか?
 初日を祝いたいんだ。
 今日はわざわざ来てくれてすまなかった。
 こんな台風の日に・・・
 あんたのおかげでみんなくじけずに済んだ。
 な!そうしてくれ。
 みんなメイクを落としてこい!
 台風が止むまで今夜はここで酒盛りだ!」

黒沼先生の音頭の元宴会が始まる。
マヤはメイクを落としたが衣装のまま。

「速水さん、あの・・・
 今日は台風の中わざわざきてくださって
 ありがとうございます。
 それから・・・最後まで席を立たないでいてくれて
 あ・・・ありがとうございます。」

「君が俺に礼を言うなんて
 君らしくないぞチビちゃん。
 噛みつかれるよりはいいかな。」

「速水さん・・・!」

「君のジェーンはすばらしかったよ。
 最高だった・・・!」

「あ・・・ありがとうございます。
 あなたが本気で言ってくれているのなら嬉しいです。」

速水真澄の意外な感想に照れるマヤ。

「速水さん・・・髪の毛びっしょり・・・」

芝居の間も乾かなかったのだろうか。
水がまだ滴り落ちている。
首に巻いたスチュワートの青いスカーフを手に取ると
速水真澄の髪の毛を拭く。
芝居で使う小道具やぞ

「あの・・・濡れたままだと風邪をひきます
 あの・・・あたし・・・」

「チビちゃん・・・」

「マヤちゃ・・・速水さん!」

その異様な光景に気づいたのは桜小路くん

「ありがとうもういいよ。
 スチュワートの青いスカーフか。
 ジェーンがスチュワートの匂いをかぎながら
 次第に人間に目覚めていく場面は感動的だった。」

「失礼!今夜はありがとうございます速水さん。
 あまり話し込んじゃ速水さんにご迷惑だよマヤちゃん。
 黒沼先生が早く着替えてこいって・・・」

強制的にマヤを連れていく。
再び一人ぼっちになった速水真澄、いい迷惑である。

そしてタバコの火を消し、青いスカーフを畳んでおくと
裏口から出ていく。

「さよならチビちゃん。」

外は変わらず激しい暴風雨。

「俺の中の嵐も
 当分やみそうもないな・・・」

ちょいちょい自分の心境を
上手いのか上手くもないのかわからん例えで述べてくれる。

ロビーでは速水真澄がいなくなったことに気づいた一同、
慌てた黒沼先生、床に落ちた酒瓶を踏んで転倒、
火のついたタバコが吹っ飛び、青いスカーフに延焼

「きゃー!スカーフがタバコの火で・・・」

「しょうがない代わりのものを使うか」

「赤いスカーフならもってるけど・・・」

「この際色なんてどっていでもいい。
 明日からこれをスチュワートのスカーフに借りよう。
 いいな桜小路。」

めちゃくちゃや。

「速水さん・・・どうしたんだろうあたし・・・
 あんなにあの人のこと憎んでいたはずなのに・・・
 速水さん・・・なぜあなたは今日来てくれたのですか・・・?」

珍しく劇的なト書きがあるので引用。

「北島マヤと速水真澄にとって
 この日の舞台がやがて運命的なものになろうとは
 今はまだ知る由もなかった。」

 

ちゅうわけで今回。
暴風雨の中、たった一人の観客の元、
無事に?初日を迎えた忘れられた荒野であるが
ちょいちょいおかしい。

停電やロビーガラスの破損はやむを得ないとして
一同慌てすぎ。客席まで聞こえる大声を出す。
まあ素人ばかりだから仕方ないとして
懐中電灯で芝居を再開。
それもまあ仕方ないが
音響とかはないのだろうか???

ほんできわめつけは芝居で使用する大事な小道具、
しかもかなり重要な芝居のキーになる青いスカーフで
速水真澄の頭を拭くマヤ、おかしい。

そして芝居やっている2時間近くか、
水が滴り続けている雨量おかしい。

そしてそんな重要な小道具のスペアを用意していないのもおかしいし
重要な小道具を

「この際色などどっちでもいい」

と言ってしまう鬼才もおかしい。

それにしても速水真澄、
相変わらず芝居に没頭して感想は成長がない。

「俺の中の嵐も・・・」

などと大して上手くもないことを言ってみるが

あんたの周りの嵐は、
紫織さんを中心に急激成長中である。

つづく。

 - あらすじ・ネタバレ注意, 第32巻・紫の影(5)