【ネタバレ注意】ガラスの仮面第32巻その⑦【紅天女の関係候補が三人・・・!】

      2021/09/27

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暗い舞台の上で目を覚ますマヤ
他にも舞台上や客席には寝ているものが。
そして外から差し込む光。
台風一過の快晴である。

「みんな起きて!
 台風が通り過ぎたわよ!
 外はすっごくいい天気よ!」

起きて外を見る一同。
ニュースでも台風の通過を確認する。
どうやらこれで今日の舞台は無事に開演できそうである。

「そうだった・・・
 昨日は忘れられた荒野の初日だったんだわ・・・
 台風のために招いていた芸術祭の審査員の先生方もお客様も来られなくて・・・
 ううん!ただ一人・・・
 大都芸能の速水真澄・・・
 あの人だけが嵐の中を来てくれたんだわ・・・
 ずぶ濡れになって、たった一人の観客・・・」

またしても速水真澄の真意を測りかねるマヤ。

「なぜ来てくれたんですか?
 あの道路も閉鎖されてしまうほどの嵐の中を・・・
 仕事のために私の母さんを犠牲にするような冷酷なあなたが・・・
 イサドラの初日のロビーで人々の見世物にして嘲笑ったあなたが・・・
 私を馬鹿にしているはずのあなたが・・・!
 私が憎んでいることを知っているはずのあなたが、それなのに・・・
 なぜですか?速水さん・・・!」

 

その頃姫川邸。

「ええー!大都芸能の速水さんが昨日、
 忘れられた荒野の芝居に・・・!?」

驚く姫川亜弓。そして業界人風の男性が姫川歌子さんと亜弓に報告している。

「ええ、あの台風だったに関わらずです・・・!」

台風直後にも関わらず、忘れられた荒野の初日情報を持って
早速報告するあたり、なかなかの忠臣である。

「これは噂ですが今大都芸能の内部では密かに着々と
 演劇界幻の名作・紅天女の上演準備が進められており
 主役以外の役者やスタッフ、演出家など
 かなりの候補の中から優秀な人物が数名選ばれているそうです。
 ええ演劇関係者のあいだでは今その話でもちきりです!」

忘れられた荒野の情報だけでなく
大都芸能内部の事情にも詳しいこの情報通は続ける。

「その演出家の中に黒沼龍三氏
 紅天女の相手役に桜小路優の名がリストアップされているそうです。
 北島マヤも入れてなんと、忘れられた荒野の芝居の中に
 三人も紅天女の候補者がいるというわけです!」

「三人・・・!
 忘れられた荒野の芝居の中に・・・
 紅天女の関係候補が三人も・・・」

衝撃を受ける姫川亜弓。

 

そしてその衝撃の舞台二日目
雨月会館では驚異の光景が。
高級車や黒塗りの車が次々と横付けにされ
着飾った高貴な業界人が次々と来館。
一般客はその異様な光景に驚く。

大女優の八重草薫
奈良沖友子
新劇の渡部見佐子
宇能重吉
滝川治
そして演劇協会の理事長も。

「なんだ・・・この芝居は一体・・・
 芸術祭に参加するわけでもないのに・・・」

続いて入って来たのは青い顔をした劇団オンディーヌの小野寺理事

「演劇界幻の名作・紅天女をやりたがってるともっぱらの評判だ。
 この芝居の演出をしている黒沼龍三が
 その演出候補ときいて様子を見に来たんだぜ。」

小野寺先生の野望は、一般観客にも知れ渡っている。

「黒沼龍三が紅天女の演出家候補にのぼっているだと・・・?
 そんな馬鹿な・・・!なぜだ・・!わからん。
 わしが紅天女をやりたがっていたことは
 社長も会長もご存知のはずなのに・・・!
 それほど黒沼龍三に才能があるというのか・・・!?」

これまで類稀なる政治力と権謀術作の限りを尽くして
今の地位を築き上げて来た小野寺先生にとって
「才能」という新しい敵の出現である。

続いての来館は、鷹宮紫織様。
お付きの老女を従えての登場。

「真澄様・・・
 台風をおしてまであなたが観に来られたのは
 紅天女のためですか・・?
 紅天女を演った月影千草という女優は
 あなたとお父様にとって行ったぢどういう存在なのですか?
 そしてその弟子だというあの少女・・・北島マヤ・・・」

終始青ざめている紫織さま。
ただでさえ虚弱やのに、心配が祟っているようである。

「あなたの本棚の奥にまるで隠すようにあった
 あの少女の舞台アルバムはなんなのですか・・・?
 なぜあの台風の中をこの芝居をご覧になるために出かけられたのですか?
 真澄様・・・!
 あなたにとって紅天女とは一体なんなのですか?
 そして北島マヤという少女は一体・・・」

かなり核心に迫って来た紫織さま。
その答え合わせをするためにわざわざ芝居を観に来たのであろうか。

そしてさらには芸術祭主催のフジミ食品社長が来場、
空いている席に姫川亜弓も着席。自由席?
姫川亜弓の隣の席を巡って乱闘が始まる始末。

「なんだこのものすごい客の顔ぶれは・・・
 芸術祭に参加も認められていないってのに・・・」

舞台袖から客席を見渡す出演者も驚く。

「きっとそれだけ注目されてるってことだ。
 今日の舞台は大変だぞこれは・・・
 成功すればアカデミー芸術祭で認められるかもしれないが
 失敗すれば三日目はない・・・!」

分析するのはビクトール男爵役の竹本さん
素人が多いこの座組みにあって、
マヤ、桜小路以外では唯一のプロである。

「心配するな!昨日速水氏の前でやったようにやればいいんだ!」

一同を鼓舞する黒沼先生。

「紫のバラのひと・・・
 あなたはもうこられないのでしょうか?
 くると約束してくださった初日が台風だなんて・・・
 あたしまっています。
 きっといつか観てくださいね。
 この紫のバラが枯れるまで
 毎日あなたがきてくれているつもりで舞台に立ちますから・・・!」

まるで紫のバラのひとがいないと
本気を出さないとも取られかねない問題発言。

「舞・・・どうしたんだろうまだこない・・・
 僕の芝居が始まると毎日楽屋に来ていたのに・・・」

こちらはGFの舞ちゃんを気にする桜小路くん。
芝居や稽古では散々、マヤに浮気しているくせに
舞ちゃんはいて当然ともいうべき鬼畜発言である。

そして暗転。
狼の雄叫びがこだまする。

「紅天女の関係候補が三人・・・!」

いよいよ始まる注目の舞台に汗を流す姫川亜弓
そして雨月会館前にはタクシーが到着。
黒い服を着た女性がスーツを着た初老の男性に支えられ来場。
大人二枚のチケットを購入して中に入る。

そしてビクトール男爵とスチュワートで芝居が始まる。
スポットを浴び雄叫びをあげるジェーン。

「ほう・・ぅ」

思わず声をあげる藤美社長

「すごい・・・!」

のっけから度肝を抜かれた紫織様

「紅天女候補か・・・」

審査員や理事長も感嘆。
一般客席もざわつき始める。

そんな中、姫川亜弓は気づく。

唸り声をあげて舞台中央に這いつくばるマヤ、
しかしその視線の先にある人影に気付く。

中央通路の先、どセンターの一番後ろの扉の前に陣取るのは
月影先生であった。
暗い劇場の中やのに、黒い服が目立つ。
どんだけ黒いねん。

「月影先生・・・!」

芝居中にも関わらず関係ないことを考えるマヤ。

「月影先生、まさかこんな・・・!」

姫川亜弓は完全に後ろを見ている。

 

ちゅうわけで今回。
台風一過で始まった二日目。
速水真澄の目論見通り、演劇界の大物が続々と来場する。

しかしこの舞台、スタート前からかなり注目を浴びており
初日のチケットは完売していたとのこと。
台風で初日はほぼ中止に近かったわけだが
初日に招待されていたお偉方はそのまま二日目にスライドされたのであろうか。
それほど注目の舞台なら、二日目も完売していそうな気もするが。

そして月影先生。
この人いっつも芝居に遅れてくる。
しかも以前には、劇場のスタッフが着席を促すにも関わらず
「ここが見やすい。チケットは買っている」と言い張り
どセンター真後ろの立ち見を行なっていた。
金さえ払えばなんでも許されるモンスター客健在である。

ただ、源造さんの支えのもと来場したが
お金を支払っているのは月影先生である。
源造さんの分も出してやるのは当然として
お金の管理は月影先生がしているのだろうか。
これほど源造さんはマルチに尽くしているにも関わらず
その金の出所も源造さんの稼ぎであろうことが疑われるのに。

さすが人の心を持っていては演じられない紅天女である。

第33巻につづく。

 - あらすじ・ネタバレ注意, 第32巻・紫の影(5)