【ネタバレ注意】ガラスの仮面第33巻その⑤【俺はあの少女を羨ましがっている・・・】

      2021/11/04

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手術中。
医師看護師四人による夜間の盛大な手術が行われている。

病院にはマヤの仲間たちもかけつけた。
つきかげからは、青木麗、水無月さやか、沢渡美奈、春日泰子
一角獣からは堀田団長、二の宮恵子、田部はじめ、細川悟
主だったメンバーが集結。

マヤの芝居すら見に来ない春日泰子、
流石に恩師危篤とあって病院に駆けつけたようだが
誰かのセリフの吹き出しに隠れて顔が見えないという不遇の扱い。

手術は難しいらしく終わるのは明け方とのこと。

「みなさん帰って休んでいてください。
手術が終わったら連絡しますから。」

「僕たちは残るよ源造さん!」
「わたしも・・・先生が心配だもの・・・!」

メンバーたちは病院にて待つことを熱望、
待合室へ案内される。

  • 紅天女のふるさとで月影先生は大変幸せそうでした・・・
  • 毎日紅天女と尾崎一蓮のことを思い出しながら過ごされていた
  • 自分に変わる紅天女をこの目でい届けるまでは死ねないと、それが口癖でした。
  • そのため養生に精を出しだいぶ元気になられてはいたのですが
  • 東京へは上演準備のために出て来られていたのですが持病の心臓の方が思ったより悪化していたらしく、急に大きな発作を起こされてこんなことに・・・

月影先生の状況と経過をかたる源造さん
この方も苦労が絶えない。
なんせ月影先生、過去には入院中に外出したり
あるいは勝手に退院して行方をくらましたりと
場合によっては病院側が責任を負わされかねないほどの不穏患者である。
養生に精を出していた、というのも疑わしい。

「手術をしなければ命の保証はできないとお医者様に言われました。
手術の成功は30%、うまくいってもあとは本人の体力次第といわれています。」

手術が成功し、本人の体力がクリアできても
その後の生活でまたむちゃくちゃするので、その指数はあてにならない。

そこへやって来たのは姫川亜弓のマネージャーの松川さん

「ああ・・・亜弓さん、ここにいるときいてとんできたんだ
伊豆での早朝ロケは忘れてないだろうね。」

「早朝ロケ?」

「ええ、映画のお仕事で伊豆の海を背景に
日の出を待って撮影することになっているの
それから数日は帰れそうにもないの。」

「日の出の2時間前にはロケ地について支度するよういわれているんですよ
少なくとも午前3時には東京を出ないと・・・」

「ロケ先からマネージャーに連絡を入れさせるわ。
様子を教えてちょうだい。
撮影が終わり次第すぐに戻るわ。
しっかりしてね。」

病院を後にする亜弓

「月影先生・・・頑張ってください
この手術で決して死ぬことなどありませんように・・・
そして私とあの少女、北島マヤをたたかわせてください・・・!
紅天女のために・・・!」

時間が過ぎる。
病院に駆けつけた一同も、ロビーのソファーで眠っている。
マヤは眠れずただ座っている。

「飲みたまえ。体が温まるぞ。」

コーヒーを差し出したのは速水真澄

「あ・・・結構です!
あなたからの親切なんかうけたくありません。」

「相変わらず強情だな君も。
親切だと思わなければいいだろう!」

マヤの手を強引に掴みその手にコーヒーを持たせる
そして自身はマヤの隣に座ってコーヒーを飲み一息つく。

「飲め・・・!それが嫌なら捨てろ!」

コーヒーを口にするマヤ。

「あったかい・・・」

「長いな・・・」

「ええ・・・」

「君はなぜここにいるんだ?
待合室でなぜ他のみんなと一緒にいない?」

「月影先生についていたいんです。少しでもそばに・・・」

  • あたしにお芝居の喜びを教えてくれたのは月影先生です
  • チビでなんの取り柄もないただのつまんない女の子だったあたしに
  • 舞台の上で別の人生があることを、別の人間になれることを教えてくれたのは先生です・・・
  • あたしに演劇という生きがいを教えてくれたのは先生です

マヤの脳裏に浮かぶのは
ビアンカ、パック、美登利などマヤが演じて来た役柄と
腕を振り上げ険しい表情の月影先生。
いい思い出風であるが、この描写ではいい思い出だけでなく
過酷な思い出にも見える。

「あたしうれしかった・・・
自分にもやれるものがあるってことが・・・
命の全部をかけてもいいくらい
好きになれるものがあるってことがわかったんだもの」

マヤの表情を見つめる速水真澄。

「あたし・・・紅天女を演りたい・・・
紅天女を目指してあたしやっとここまできたんです・・・
もし紅天女を演れたら・・・
そのときこそあたし本物の女優になれる気がするんです・・」

「では月影先生の手術の成功を祈るんだな。」

立ち上がる速水真澄

「もし今先生に何かあったら
君が紅天女を演じる可能性は全くなくなる。
そして姫川亜弓の紅天女の誕生だ。」

「亜弓さんの・・・紅天女・・・」

「コーヒーのおかわりはもういいのか?チビちゃん?」

「ええ・・・ええ・・・もう・・・」

紙コップを握りつぶすマヤ

「速水さん・・・!あなたはなぜここにいるんです?」

「俺は・・・仕事だ。
紅天女の所有者の生死がかかっているんでね。」

カッとなり紙コップを投げつけるマヤ、ひょいとかわす速水真澄。

「あなたなんか顔も見たくないわ!」

「結構だ。さっきよりは元気になったようだな
悲しみよりは怒りの方がまだましだ。」

去ってく速水真澄。

「速水さん・・・あたしを慰めてくれたのかしら・・・
まさかね、あの人が・・・」

そして速水真澄は毎度のごとく人生を振り返る。

「紅天女か・・・俺はあの少女を羨ましがっている・・・
今わかった。俺があの少女に惹かれているのはあの魂だ・・・
生命のありったけをかけているあの情熱だ・・・
それほど生命を燃やせるものを持っているあの少女を
俺は羨ましがっているんだ。」

自身のロリコン疑惑を「情熱を羨ましがっている」と論点をすりかえる。

「生きがい・・・か
俺にとって今までの人生は一体なんだったんだろう
本当の自分をさらけだして生きたことが今までにあったか・・・?」

しょっちゅう恥ずかしい面をさらけ出している。

「そう・・・速水家に引き取られてきたあの日から・・・
子供の頃自分の運命を悟ったあの日から・・・」

 

そして明け方、ブザーが鳴り手術終了。
看護師に運ばれ出て行く月影先生。

「絶対安静です。あとは本人の体力が勝負です。
しばらくは昏睡状態が続きますがこのまま意識が戻らなかったら・・・
その時は覚悟してください。」

手術は一旦は成功ということか。

「意識が戻らなかったら・・・覚悟・・・」

病室で固まる一同・・・・

ちゅうわけで今回。
月影先生の手術とそこに駆けつけた人たちのお話。
月影先生との絆を熱く語るマヤと
芝居に情熱を燃やすマヤを羨ましがる速水真澄。

気になったのは、
姫川亜弓はいつから月影先生と近くなったのだろう、ということだ。

もともとは劇団つきかげと劇団オンディーヌ
本人同士ではないにせよ
所属はある種の敵対関係にあった。

その後劇団つきかげは解散したわけであるが
記憶が確かなら、
月影先生が病床で姫川亜弓が出演する舞台を見て
はあはあ言うてたのが、役者として興味を持ち出した最初と思われる。

その後、月影先生が紅天女候補に一方的に指名
(マヤの尻を叩くためでもあったが)
二人の王女などでの共演もあり今に至るわけである。

二人の王女では演出家を差し置いて
個別指導を強行するなどやりたい放題の月影先生。

姫川亜弓の才能と実力を認め、そしてマヤを奮い立たせる意味もあって
姫川亜弓を推し、そして後継者候補にした月影先生だが
姫川亜弓サイドとしては特筆するエピソードがあまりないのが気になる。

例えばマヤにとっては演劇の師匠であり人生の師でもある。
月影先生に出会っていなければ、
演劇を始めることもなく、始めたとしてもここまで大きくなることもなく
本人の言う通りのつまらない人生を送っていた可能性が高い。

しかし姫川亜弓にとっては月影先生とのそうした絆が見えない。
月影先生がいなくとも、女優としては成功しているし
紅天女を通じてのエピソードしかないのだ。

あとは母の姫川歌子さんがかつて月影先生に師事していたことくらいか

そのせいもあってか、病院を後にする際の姫川亜弓の言葉は
マヤのそれと比べるととてもビジネスライクに聞こえてしまう。

ただ姫川亜弓はそう言う人なのかもしれない。
だから取り巻きはいても友達はいない人生なのだろうか。

つづく。

 - あらすじ・ネタバレ注意, 第33巻・紫の影(6)