【ネタバレ注意】ガラスの仮面第16巻その②【母親が死んだのはあなたのせいです!】

      2018/07/07

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大都劇場「シャングリラ」稽古場

まもなく本番を控え、出演者たちが立ち稽古に入っている。
しかし主演・巫女リーラ役のマヤは座りっぱなし。

母親を亡くしたショックから立ち直れず、
ろくに食事もとっていない。

恋人の里美茂がそんなマヤを励ますため、
ロケ先から電話を掛けてきても
出ようとしない。

「もうどんなにお芝居しても見てもらえることはないのね・・・
 母さん・・・あたしとうとう一人ぼっちになっちゃったじゃない・・・」

元家出少女の発言とは思えない。
ちなみにマヤが自身の出る芝居に母親を呼んだのは、
中学校の学園祭だけ。
伝説の「おらのことパーだと!?」のあの舞台が最後である。

「スキだらけだわ・・・あの子・・・
 今なら全身スキだらけ・・・
 このチャンス何としても生かさなくては・・・」

陰からマヤを見張り、ほくそえむ乙部のりえこと田代鈴子。
数々の嫌がらせをし、そしてマヤにまとわりつき、
取って替わる機会を伺っているその野望は周到である。
しかしこの時点ではまだ具体的なアクションは決まっていないらしい。

その頃、大都芸能では速水真澄があの方にお説教されていた。
もちろん我らが水城冴子さんである。

大都芸能社長秘書にして北島マヤの敏腕マネージャー。
その仕事の力量、臨機応変な判断と対応、会社への忠誠、
どれをとっても欠点のない水城さん。
しかし一つだけおかしいのは、やたらと社長に説教する。

それもいろいろパターンがあって、
直球で怒りや悲しみをぶつけるときもあれば、
微笑みながらネチネチとやるときもある。
変態ドSなのだろうか。

「あなたが陰でやとっていたあの黒服の男・・・
 ついに私に白状しましたわ」

例の診療所の院長との会話をマヤの母親に聞かれてしまったあの部下は、
今度は水城さんの尋問を受けていたらしい。
「白状」って、拷問でもされていたのだろうか。
変態ドSなのだろうか。

「真相は聞きました・・・
 あなたが宣伝のためにあの子の母親を療養所に監禁していたことを・・・
 真澄様・・・私ずっとあなたを尊敬してきました・・・
 大都芸能の鬼・・・冷血漢・・・世間が何て言おうとです・・・
 でも今度ばかりはあなたを非難させてください・・・」

非難させてください、と断りを入れてここからヒートアップする水城さん。
ちなみに非難するのは今度ばかりではない。
本当に尊敬しているのか?
それともそういう変態なのか?

  • 仕事のためとはいえあなたさえあんなことをしなければ、あの母娘はもっと早く巡り会えていた。
  • たった二人の母と娘をあんなふうに引き裂いて!
  • あなたさえあんなことをしなければ、病院を脱走することも、死ぬこともなかった!
  • そうですわ!あの子の母親が死んだのはあなたのせいです!真澄様!

前回「俺が殺した・・・・!?」と疑問文だったが、
一気に水城さんにまくしたてられ、
罪状を事細かに説明され、
断罪されてしまった速水真澄。
水城さんの見事なまでの勢いに、
もはや返す言葉もない。

「これがあなたのやり方ですか?
 本当のあなたはあふれるほどの優しさと
 熱い心を持った方だと思っていました。
 子供の頃からの苦労が
 大都芸能の鬼、冷血漢の仮面をかぶせてしまったのだと!
 だけれどご自分はまだ本当の姿に気づいていない・・・」

断罪の後は、生い立ちと人格を否定。
水城さんが上司だったら多分死ぬわ。

「陰であの子に紫のバラを送り続けて・・・
 あなたの中の優しさが目覚めてきたのだと思っていました・・・」

「水城君・・・」

「紫のバラの人」という恥ずかしい秘密もあっけなく暴露された。
ちなみに今回、速水真澄は「水城君・・・」の一言しか発していない。
まだまだやめない水城さん。

「今日はここへあの子を連れてきました。
 こちらですわ。あってやってください!
 そしてあなたのおやりになったことの結果を
 よくごらんになってくださいまし!」

後半は時代劇口調で被害者と面会させる。
いじめっ子をいじめられた子の前に連れて行って
反省させる先生や母親の手法である。
そこには母親の遺骨を抱いて座っているマヤがいた。
呆然となる速水真澄。

  • ご心配なく。気がふれたわけではない。
  • ずっとああやって母親の遺骨を手放さない。
  • あの子が抱いているのは台本でもシナリオでもなく遺骨だけ。
  • 台詞も動きも入っているが、心だけが巫女リーラになれないだけ。
  • 心だけが母親を亡くした悲しみに暗く閉ざされている。
  • 今この子は自分以外の何者にもなれない。

「どうなさるおつもり!?
 シャングリラの初日は一週間後ですのよ!」

現状の説明から一気に「どないするねん?」で終わるお説教であった。
速水真澄、返す言葉なし。
替わりに説明が入る。

「そのとき・・・
速水真澄は生まれて初めて深い罪悪感を覚えた。
それは大都芸能の仕事の鬼冷血漢と呼ばれてきた真澄の
今まで崩れることのなかった心を大きく揺さぶった。
そしてこの母の死は、
これからのマヤの運命を大きく揺り動かすことになる・・・」

罪悪感覚えるの遅すぎ。
先週の「俺が・・・殺した!?」ノリツッコミの時には
罪悪感を覚えなかったのだろうか。

そして速水真澄の心はこれまでも崩れ、大きく揺さぶられてきた。
今はじめて崩れたわけではないのだが。

しかし今回もG.Jですよ水城さん。
物語の進行上のこの方の役回りは二つあると思われる。

一つ目は「大都芸能サイドの説明役」
大都芸能の意向や仕事の動きなどなど、
社長からいちいち読者に説明させるわけにも行かないので、
水城さんの行動や発言から、
仕事や業界のことがわかるようになっている。

もう一つ目は「速水真澄サイドの説明役」だ。
速水真澄の本心や考え、行動の理由など、
本人ですら「愛しているだと・・・(以下同文)」でわかっていないが、
水城さんのお説教や真澄イジリを通じて理解することができる。
ただし描写上、速水真澄と水城さんの二人きりでの対話にせざるを得ない関係上、
説教であったり、くってかかったり、茶化してみたりと
次から次へと速水真澄は図星を言い当てられ、
辱めを受け、読者は溜飲が下がる。
そういう役回りになっているである。

つづく

 - あらすじ・ネタバレ注意, 第16巻・華やかな迷路(4)