【鬼才】黒沼龍三の魅力に迫る【長所・短所】

      2021/09/25

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「忘れられた荒野」の演出家・黒沼龍三。
鬼才と呼ばれたその演出力を持ちながら
自身の性格も相まって不遇を託つ演出家。
北島マヤと出会うことでお互いの飛躍につながるわけであるが
この人が嫌いな人はいないのではないでしょうか。
かくいう管理人も黒沼先生は大好きです。
今回はその「鬼才・黒沼龍三」の魅力に迫りたいと思います。

経歴

黒沼龍三は演劇を始めたきっかけは不明ながら
学生時代から演劇活動を行なっていたようです。
速水真澄がその全てを調査したようですが
途中から演出をてがけているようなので
当初は役者として活動していたのでしょうか。

そこからプロの演出家となり
「鬼才」と呼ばれるまでの名声を博しますが
5年前に映画界の大御所・嵐乱子と喧嘩して
開演一週間前に降板するというトラブルを起こし
それ以来雌伏の時を過ごしています。

嵐乱子って、その大御所も名前からしてやばそう。

ちなみに初登場は単行本28巻。
いきなり大沢演劇事務所の社長と口論しているという
嵐の幕開けを予感させる登場を果たします。

演劇への情熱

黒沼先生は何と言っても

「芝居が好き、演劇が好き」

です。これは本人も言っています。
演出プランを練る時は半月近く部屋にこもり
外出もせずその部屋に起居、
出演をキャスティングするときもありとあらゆる舞台やその映像をみて
自身のイメージにあった役者を探し出します。
仕事とか以前に、好きでなければここまでのめり込むことはできません。
そう言った意味では、芝居をすると日常を忘れて没頭する
マヤと相通じるものがあります。

ただその情熱ゆえに周りとの摩擦も絶えません。
凝り性で少しでも自分の気に入らないことがあると絶対にOKせず
役者やスタッフをこき使う。予算など御構い無し。
スター役者を降ろしたり、時には開演一週間前に役者を替えたりする。
といった少々行きすぎた行動もあり
そのため仕事が少なくなっているという事実もあります。

性格

上記にあるように一切の妥協を許さない
忖度をしない、そして自身が言うには
「嘘がつけない」
とのこと。

社長だろうが大御所だろうが納得いかないことには食ってかかり
事務所の売れっ子役者や、スター俳優などであっても
自身が認めない、芝居ができないと判断すれば起用せず
勝手にキャスティングを変えたりします。

そうした経緯から大沢事務所を追い出される形となるのですが
「イサドラ!」を観た後には
「イサドラの芝居に深みがあればもっと良かった」と
皮肉に満ちた批評を、主演の円城寺まどかさん本人にぶつけています。

こうした痛快な性格が読者には好まれるのですが
実際に職場や身内にこんな人がいたら大変かもしれません。

ただ奥底には情熱と優しさを秘め、
自身が認めた役者やスタッフには愛情を持って接し、
彼らの信頼を得ています。
大沢演劇事務所を追い出された際にも
マヤや桜小路君の他に二人のスタッフが着いてきています。

群れることを良しとせず、偉い人に対しても愛想もない対応ですが
認めた人間に対してはとてもフランクであり、
速水真澄に対してもその真意を理解し心を開いています。

生活

私生活は全くと言っていいほど描かれていませんが既婚者のようです。
「忘れられた荒野」の初日には台風で帰れず
奥さんと恐る恐る電話している描写があり
「意外と恐妻家なのでは」
と疑惑を持たれています。

大半は稽古場や事務所に詰めていることが多く
そこで寝食することも。
喫煙者であり、そしてかなりの酒好きです。
中毒の気配すら感じられ、昼日中酒を飲んだり
酩酊で稽古場に現れスタッフを殴るなど
酒乱の気があります。

演出力・指導力

黒沼先生の演出力、ここについては異論はないでしょう。
「忘れられた荒野」において
同じ脚本から異なるバージョンの芝居をいくつも生み出すと言う
人間業を離れた演出力を持っています。

「黒沼先生は役者の自分でも気づかない才能と力を引っ張り出す名人」

とも評されており、
忘れられた荒野では素人だらけの出演者を
それぞれの日常や仕事に例えながら的確な指導を行い、
初心者とは思えない成長を促しています。

しかしながら、その妥協を許さない性格から指導は激烈を極めます。
暴言暴力は日常茶飯事。
気に入らない芝居をしたベテラン役者を稽古から外し
稽古場の隅で発声練習をさせるという辱めを受けさせる、
芝居がうまくいかない役者に椅子を縛り付けてそのままにするなど
パワハラ、モラハラに満ちた指導を行なっていた
過去の回想があります。

マヤに対しても非常に厳しい稽古を課しますが
「月影先生のところで慣れているから」
とブラック企業の生き残りのような発言。

そして「忘れられた荒野」では素人が大半ということもあり
その凶暴さはなりをひそめ、相手のレベルに合わせた指導を行うよう
心を改めているようです。

本質を見抜く力

黒沼先生の最大の魅力は何と言っても
「本質を見抜く力」ではないでしょうか。

ジェーンの芝居に悩むマヤに対し的確なアドバイスを送っています。
そしてマヤがジェーンの芝居を掴むため行方不明になるも
その真意を理解し、稽古をすっぽかしたにも関わらず
最後までマヤを信用しています。

「イサドラ!」初日のパーティーで
速水真澄がマヤを挑発愚弄しジェーンの芝居をさせた件についても
マヤとその芝居を注目させるために打った狂言であることを見抜き
後日お礼を言っています。

まとめ

ちゅうわけで長所短所の魅力に溢れた黒沼先生。
個人的に気になるのは

「黒沼先生が月影先生を演出したらどうなるか」

です

どちらも妥協を許さない芝居の鬼。
黒沼先生は月影先生にダメ出しできるのか?
月影先生は黒沼先生を差し置いて、勝手に他の役者を指導したりできるのか?

想像しただけで胸が熱くなりました。

 - 雑談