ガラスの仮面のおっさん

アラフォーのおっさんがガラスの仮面を読んで聞かせる

「忘れられた荒野」ガラスの仮面・劇中作品データ

      2021/12/04

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出演:
ジェーン  北島マヤ
スチュワート 桜小路優
ビクトール男爵 竹本さん
コルベール牧師 工事現場のおっさん
家政婦頭バトリー夫人 看護師長
アン召使い 喧嘩早い女性店員
スチュワートの主治医 塾の先生
新聞記者/見世物使いの男(二役) 暴走族風の男

演出:黒沼龍三
脚本:不明
スタッフ:二名

劇場:雨月会館

主な観客:
速水真澄
姫川亜弓
姫川歌子
小野寺一
劇団つきかげと一角獣のメンバー
宇能重吉
滝川治
姫川歌子
薬所丸ひろ子
円城寺まどか
全日本演劇協会理事長
アカデミー芸術祭審査員大勢
月影千草
源造

言わずと知れたマヤの代表作にして当たり役。
紅天女への1%の可能性を賭け
アカデミー芸術大賞あるいは
全日本演劇協会最優秀演技賞を受賞するため
望んだこの舞台、
マヤだけでなく共演の桜小路優、そして演出の黒沼龍三にとっても
転機となる舞台であった。

「第11章・紫の影」をまるまる構成するこのお芝居は、
オーディションから含めると
単行本28巻から33巻まで掲載されている。

あらすじ

山中で発見された、狼に育てられた人間の少女と
青年学者スチュワートの心の交流と人としての成長を軸に、
感動あり、笑いあり、涙あり、恋愛あり、風刺あり、
鬼才黒沼龍三による異次元の演出で
異なる芝居をリリースした。

マヤ久々の指名

芸能界追放されて以来、アングラ的活動を続けてきたマヤ。
つきかげの活動や、学校関連の舞台を除くと
「二人の王女」に続く商業演劇である。

「二人の王女」は圧勝したとはいえ
オーディション追加参加の立ち位置であったが
その結果を受けてマヤの元にはオファーが殺到。

作品を選べる立場となったマヤは大いに迷うが
黒沼龍三からの指名を受けた狼少女役、
紅天女へのわずかな可能性をこの役に賭けたのであった。

大沢事務所の憂鬱

当初「忘れられた荒野」は大沢演劇事務所の制作によるものであった。
大沢事務所はこれまで賞レースでの受賞実績がなく、
なんとか賞を獲るべく、
演劇界の鬼才と呼ばれながら5年近く干されていた黒沼龍三を起用。

しかし黒沼龍三は賞狙いの制作にはあからさまに反旗を翻し、
事務所の推すキャストを却下する始末。
大沢社長と黒沼先生の間は次第に険悪になり、
賞レースにこだわる大沢社長は
星歌劇団の人気スター・円城寺まどかさんの退団後初の公演をプロデュース。

そして芸術祭への参加作品をこの「イサドラ!」に決定し、
「忘れられた荒野」から役者を引き抜いたり
稽古場を奪ったりと露骨に差別。
上演できる劇場もなくなり、イサドラには大都劇場が用意された。

そしてついに大沢事務所と黒沼龍三は決別、
インディペンデントの舞台として再出発を余儀なくされる。

結果的には「イサドラ!」はいくつかの賞を受賞し
大沢事務所の面目を保つほどではあったが
黒沼龍三の「忘れられた荒野」の前には霞む形となってしまったのである。

素人だらけの舞台

大沢事務所の陰謀により役者を引き抜かれた「忘れられた荒野」
主役のマヤと、「イサドラ!」に引き抜きを受けながらも残った桜小路優
そのほかの役者はいなくなってしまったのだが
黒沼龍三は驚くべき手法で役者を集めた。

街中に役者募集のチラシを貼って公募、
さらには街中でイメージにあった人物を
スカウトするという荒業に出る。

集まった連中は演技未経験の素人が大半。
しかし黒沼龍三はとても満足げにオーディションを行い
素人の彼らを見事に指導して演技をつけていく。

中には看護師長のポジションにあったにも関わらず
役者の道に飛び込んだ中年女性も。

各個人の人生だから自由ではあるが
今回の舞台に参加したことで
安定の人生を捨ててしまった人がいるかもしれない。

今回のトンデモ稽古

そして主役のマヤ。
毎回舞台のたびにはその役を掴むため
とんでもない稽古を行うのが通例。

今回は野生の狼の演技がなかなか習得できず
黒沼先生は「都会の狼」と酷評される。

そこでマヤは稽古に行く途中突如思い立ち
奥多摩方面の山中へ軽装でサバイバルに臨む。
電車を降り、バスで山へ向かい、
途中下車して山道をそしてとんでもない崖を登って行く。

装備や食料の準備も万全ではない中
川に流され崖から転落し
豪雨に打たれ、空腹に耐え、野生の木の実を食べる。
そして数日後、野生の狼の表情と心を会得する。

恐ろしい話であるが
言い換えれば数日山で野宿したら芝居が上手くなるという
とんでもない話である。

こうして会得した狼の芝居は好評を博し
注目を集め、そして喝采を浴びるのであった。

速水真澄の策略

今回も速水真澄はマヤのために尽力する。
まずは古い潰れた映画館の雨月会館が劇場としてあてがわれたが
紫のバラのひととして財力を傾けて新装リニューアルに。

さらには「イサドラ!」の初日のパーティーでは
円城寺まどかの芝居を再現するマヤを挑発し
狼少女ジェーンのプレ公演を披露することに成功。
マヤには憎まれ嫌われ桜小路君には軽蔑されるも
演劇協会理事長をはじめ
パーティーに集まった演劇界の重鎮たちへ「忘れられた荒野」の売り込みに成功。
予約が殺到すると同時にアカデミー協会審査員たちを劇場に呼ぶことに成功。
そして招待された初日には台風にも関わらず劇場を訪れ
たった一人で観劇、絶賛して帰る。
それが遠因となりマヤに紫のバラのひとの正体を知られてしまうのだが・・・

円城寺まどかの憂鬱

これまでも次から次へと現れるライバルや刺客をけちらし
芸の肥やしとしてきたマヤであるが
史上最強の芸の肥やしとなってしまったのが円城寺まどかさん。

星歌劇団のトップスターで退団後初の主演とのことで注目され
アカデミー芸術祭大賞の最右翼とされるも
まず相手役に抜擢しようとした桜小路優には断られ
そしてその相手役はどんなやつやと見に行った
忘れられた荒野の稽古ではマヤの演技に度肝を抜かれ
なんとか初日を迎え大喝采を受けるも
パーティーでは主役の座をマヤに奪われ、
そして複数回雨月会館に足を運んで圧倒され、
そしてかろうじて主演女優賞をとるも
大賞も最優秀演技賞も逃してしまった。
散々な扱いである。

鬼才・黒沼龍三

そして今回人生を切り開いたもう一人が演出の黒沼先生。
これまで大御所と衝突するなど問題ありの演出家であったが
マヤとはウマがあったのか大成功。
そして何よりも一つの脚本から違った芝居と演出で
複数のバージョンのストーリーを作り出すという
人間離れした手腕を披露。
アカデミー演出賞を獲得、
紅天女の演出候補にものぼるという大出世を果たしたのであった。

異例のロングラン、そして

5日ごとに芝居の内容が変わるという興行で注目を集め
新規客もリピーター客も取り込んだ忘れられた荒野は
異例のロングランとなる。
アカデミー芸術祭の期間満員御礼は続き
優秀作品賞を受賞、
黒沼先生は演出賞、桜小路君は特別新人賞、
そしてマヤは演劇協会の最優秀演技賞に輝いたのであった。

まとめ

以上、マヤの代表作ともなった「忘れられた荒野」
これで多くの人の人生が開き
月影先生のまつ紅天女のふるさとへと向かったのでした。

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