ガラスの仮面のおっさん

アラフォーのおっさんがガラスの仮面を読んで聞かせる

「女海賊ビアンカ」ガラスの仮面・劇中作品データ

      2019/02/09

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出演:
ビアンカ・カスターニ 北島マヤ

演出:北島マヤ
脚本:吉沢ひろし
照明ほか:吉沢ひろし、草木ひろ子
観客:月影千草、青木麗、水無月さやか、その他生徒、教職員多数。

劇場:一ツ星学園の体育倉庫

あらすじ

400年昔、エーゲ海を荒らし回っていた海賊船がつかまったとき、
甲板の上の裁判中、男のなりをした女が一人混じっていた。
呼び名はニコロ、本名はビアンカ・カスターニ。
元は大貴族のお姫様だった彼女がなぜ海賊になっていたのか、
彼女の告白の記録の
恋あり、陰謀あり、冒険ありの
波乱万丈の物語である。

芸能界を去ったマヤの挑戦の場

大都芸能を去ったマヤ。しかし最後に出演した舞台で
「おらぁトキだぁ」
の名言とともに演劇への情熱を取り戻したマヤ。

一ツ星学園で演劇部への入部を試みるも拒絶される。
偶然出会った草木ひろ子から「女海賊ビアンカ」の物語を知らされ、
学園祭において、体育倉庫を劇場に変え、一人芝居を行うことになったのだった。

立派な舞台もなく、客席はゴザを引いただけ、
舞台装置も小道具も体育倉庫のガラクタを使用。
観客は芝居目当てというよりは、
「芸能界を失脚したあの北島マヤ、
 かつては大河ドラマにも出演していたが今や誰にも相手されず、
 体育倉庫で一人で芝居をやるらしい」
というゴシップ的興味の生徒たち。
この完全ビハインドの状況に、マヤは一人芝居を挑んだのだった。

質素な舞台のもたらしたもの

しかし物語が始まってみるとこの質素な舞台装置が非常に効果的であった。
宮殿、船の甲板、ベネチアの街並みと
物語の場転に合わせ、抽象的な舞台装置が印象を変える。

マヤの超人的な演技力も相まって、
体育倉庫の空間に当初は違和感を感じ、さらには爆笑すらしていた観客たちは
次第に引き込まれ魅了されていったのであった。

天才マヤ、演出の才能を発揮

毎回超人的な演技力で観客を魅了しなかったことはないマヤ。
今回はさらにパントマイムに磨きをかけた。

しかしそれだけではない。
一人芝居「女海賊ビアンカ」では実質演出を務めている。
その演出も天才ならでは。
体育倉庫の客席にじっと座ったまま、
時間が経つとまた位置を変えて座ったまま、
これを幾度か繰り返した後

「できた!」

演劇部部長の解説によると
「観客の目線を図っている」
とのことだが、
実際はもっと直感的なものであろう。

頭の中にあるストーリーを繰り返しながら
客席のあらゆる位置から、舞台上で動く自分自身を想像し、
もっとも効果的な動きや演技、そして舞台装置を考えているのである。

しかもこの間、台本を読んだり、何かを記録したりといった描写はない。
頭の中の台本を読み、それを想像で舞台に描き、
演出プランや舞台装置プランを頭の中の台本に記録しているのである。
天才マヤならではの演出であろう。

異例の再演決定!

そんなこんなで本番。
上記のごとくビハインドな状況にも関わらず観客は熱狂。
無粋な観客の乱入というアクシデントも
芝居の反射力で乗り越え空気を醸成する。
終幕後は割れんばかりの拍手喝采で迎えられ、
学校には再演希望の投書が山のように。
学園祭では異例とも言える再演が決定したのだった。

再演決定の報告を月影先生にすると、
月影先生は約2Pにもわたるダメ出しを行う。
この師匠も、初見の芝居を完全に記憶し、
舞台の全体や演技の詳細に至るまでダメ出しするという天才である。

月影先生の指導が功を奏してか、再演も大成功。
初演よりもテンポがよく面白かったとの評判、
次回作への期待が高まるのであった。

有能なスタッフと大女優

今回の成功はマヤの才能はもちろんだが、
偶然巡り会えたスタッフとの出会いにもよるものである。

図書委員の草木ひろ子さんによって「女海賊ビアンカ」の物語を知り、
草木さんに脅迫された吉沢ひろしくんが脚本を務め、
草木さんの提案により体育倉庫の劇場化が行われた。
二人はそれだけでなく、体育倉庫の掃除や、客入れ、照明なども行なっている。

吉沢君は当初大人しく引っ込み思案な印象で、
脚本執筆にも乗り気ではなかったが、
筆が走り出すとその才能を発揮、実力も態度も作家大先生になっていく。

しかしさすがは大女優・北島マヤ。
大先生の脚本に何のためらいもなく要望を出し、ダメを出し、改変する。
にも関わらず、

「一人芝居・・・何もかも一人で・・・」

と一人を強調している。
こんなところがマヤが嫌われる原因でもあろう。

まとめ

というわけで大好評を博したマヤの一人芝居「女海賊ビアンカ」
二度の上演を経て、次回作の上演が決定したのであった。

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