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アラフォーのおっさんがガラスの仮面を読んで聞かせる

「白い青春譜」ガラスの仮面・劇中作品データ

      2016/09/24

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田淵エミ初の映画出演「白い青春譜」
主演:田淵エミ
患者C:北島マヤ

監督:竹村
助監督:戸田
脚本:山田圭
製作:林雄二
配給:夏目映画株式会社

劇団つきかげは後ろ盾だった青柳芸能プロの援助を打ち切られ、演劇研究所は解散、寄宿舎を出ることとなった。
北島マヤ、青木麗、水無月さやか、沢渡美奈、春日泰子の五人は師と慕う月影千草の後を追い、
下宿生活をしながら雌伏の時を送っていた。

学業とアルバイトに追われ、稽古場の確保もままならず演劇から遠ざかるメンバーたち。
そして生活苦もあり、特に家出少女の中学生マヤはアルバイトもできず、教科書代の支払いにも事欠く始末。
また自身の存在が月影先生の重荷になっているという速水真澄の言葉が突き刺さる。

そんな中偶然、映画のオーディション情報を見つけ、マヤは応募したのだった。

白い青春譜のあらすじ

不明

オーディションの描写や、マヤの登場シーンから推測。

田淵エミ演じる洋子はテニス選手になることを夢見る少女だったが、
何某かの病により自身の余命が半年であることを知る。
入院の見舞いに来た友人も追い返し、ラケットを投げつける。

以上。

まあアイドル映画だからあらすじなどあってないようなものなのか。
そしてその投げつけられたラケットを拾い、

「はい おとしもの」

と一言セリフを言う患者Cがマヤの役である。

北島マヤ、映像デビュー!!

家出をして月影千草の門を叩いて以来、舞台を中心に演技の勉強をしてきたマヤ。
今回は初の映像、しかも劇場映画に出演である。

主演は今をときめくアイドル・田淵エミ。
しかし演技の才能は0と言ってよく、
本人もドラマや映画にはあまり興味がないようだ。
そのクラスメイト役オーディションに参加したものの不合格となってしまった。

奇妙奇天烈なオーディション

オーディションは書類審査の後、1次審査〜2次審査を二日間で行う。
一般公募の素人相手なのにいきなりセリフを読ませたり、
一人一人にかなり時間をかけている印象である。
マヤが番号87番だったから、100人くらいは参加者がいたのだろうか。

有名アイドルの映画のオーディションなら数千人クラスの応募があったはず。
その狭き門を書類だけで通過したマヤはなかなかのもの。

1次審査の演技ではマヤは審査員を圧倒。
劇中のセリフっぽい演技では注目を一身に浴び、
そのあとの

「知ってる?河本先輩恋人いるんですってよ」

では、大喜利のような審査員の無茶振りも次々とこなし、
その演技力を大きく印象づけ見事2次審査へ進む。

2次審査は面接。
田淵エミのクラスメイトということもあって、学校生活や自身などのことを聞かれた様子。

結果としてマヤは2次審査で落ちるのだが、

演技ではめっちゃ評判良かったのに、
面接で落ちるってどないやねん。

よほど面接の受け答えが悪かったのか、
それとも家出少女であることがマイナスしたのか。

敗者復活。患者役にキャスティング

しかしその演技の実力に魅せられた一人の大物風スタッフの声があってか、端役ながらキャスティングされたのだった。

マヤを推薦したスタッフは身なりも立派でかなりの大物風。

どうやら製作部長の林さんという方らしい。
製作部長だったらもっとキャスティング権があってもよさそうなものだが・・・

この方マヤの演技の印象をとても高く評価しており、
のちのマヤの活躍を考えるとなかなか見る目があると言える。

今回の白い青春譜がダメでも他の映画やドラマにキャスティングしてくれてもよさそうなものだ。
しかしこの後林さんの登場はない。
見る目はあるものの、やはり権力はなかったということだろうか。

恒例の熱血演技指導と鬼気迫る稽古

マヤがゲットした役は、セリフは一言。
片足が麻痺し、歩く訓練をする入院患者だ。

片足が麻痺している演技のため、教会の階段で稽古するマヤ。
そしてそれを見守る月影先生。

と見せかけての熱い演技指導。
足払いからの

「麻痺した足で体重を支えられますか!!」

もうめちゃくちゃやん。
さすが人間の心を忘れなければ演じることができない紅天女だけあって、
人間の心など微塵も感じさせない。

マヤはそれでも自分の演技に納得がいかず、

スタジオの片隅でロープで足を縛って特訓。
本番2時間前から階段で特訓。

と考えようによっては撮影進行の妨げにもなりかねない姿勢で臨む。
田淵エミちゃんはじめ、共演者スタッフドン引き。

しかし田淵エミの残念な演技と相対的に
マヤの迫真の演技はカメラフレームを圧倒。
主演の田淵エミを画面の外に追いやり、ほんの端役ながらもマヤはカメラにアップで抜かれたのだった。

田淵エミは演劇界を去っていった

誰もが認める大根役者。
本人もそもそも演技に興味がなく、
「面白かったら今後もやってみてもいいわ」
と舐めきったスタンス。

歌番組の収録などの合間を縫っての撮影。
監督の厳しい演技指導にも悪態をつき、
スタッフからも陰口を叩かれるほどの姿勢であった。

「たかが通行人なのに」
とマヤの姿勢を当初は馬鹿にしていたエミだが、
リハーサルや本番でそのマヤの姿勢と演技の迫力で心を改めた。
演技の厳しさを知り、己の姿勢を恥じたのだった。
そして封切り後のインタビューで今後について聞かれた際にも

「もし機会があれば、本格的に演技の勉強をしてみたい」

と暗い表情。

マヤの演技への姿勢にとことん打ちのめされた様子である。
そしてアイドル田淵エミは、女優田淵エミへと変身できたのだろうか?

おそらくできなかったであろう。
なぜなら田淵エミが座る路線にあったであろう映画やドラマのヒロイン役に、
マヤと亜弓がとって変わったからである。
もちろん大都芸能のバックアップもあってのことだが。

演技の勉強を「する!」ではなく「してみたい。」という言葉にもその情熱が感じられない。
田淵エミはマヤから衝撃を受け、自身の至らなさを恥じたものの、
演技へのモチベーションには変えられなかったようだ。

もしモチベーションに昇華できても、
「白い青春譜」で大根役者の名をほしいままにしてしまったのかもしれない。

そしてなんといっても撮影現場での態度や演技への姿勢の酷さ。
心改めたものの時すでに遅し。
業界では田淵エミ批判が渦巻いていたのではなかろうか。

そしておそらく田淵エミは女優として大成することなく、演技の世界からは去っていったものと思われる。

まとめ

実力も必要だが、もっとも大切なのは姿勢や気持ち。
明日も真剣に謙虚に生きよう。
田淵エミをみてそう思った。

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