ガラスの仮面のおっさん

アラフォーのおっさんがガラスの仮面を読んで聞かせる

「白いジャングル」ガラスの仮面・劇中作品データ

      2018/09/22

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夏休み向け超娯楽映画

出演:
藤村未央 北島マヤ
その父・藤村隊長 早瀬丈
白い魔境の女神サリア 広川レナ

あらすじ

行方不明の父を探すその秘境探検隊に加わった未央。
明るく勇敢でドジでそそっかしい冒険の物語。

以上。
アイドル映画なのであらすじなどあって無きが如しか。
ちなみに「超娯楽映画」とかなりハードルを上げている。

マヤ初の主演映画

マヤにとって初の主演映画となったこの作品。
かつて映画は田淵エミ主演「白い青春譜」に端役で出演の経験があるものの
いきなりの主役である。

しかしすでにTV「天の輝き」で圧倒的な存在感を披露し、
映像の芝居にも慣れたマヤは
「天の輝き」の沙都子とはまた一味違った仮面をかぶる。

明るくてそそっかしくてちょっとドジで勇敢で
茶目っ気があって元気を発散させている少女。
どちらかと言えば素のマヤに近い役柄である。

撮影も滞りなく終了、試写および公開後も大好評を博し、
演技の幅の広さをさらに知らしめることとなったのだ。

そして撮影の最中も乙部のりえは付き人を買って出る。
彼女の馴れ馴れしさにマヤも水城さんも違和感を感じるのだった・・・

大都芸能の業界パワー炸裂!

TV・映画・CM・舞台・情報番組・新聞・雑誌などなど
多くのメディアで露出を増やし、
話題を集める戦略を得意とする大都芸能であるが
今回もその戦略が冴え渡る。

天の輝きで話題の人となったマヤをまた違ったキャラクターで露出、
試写会では速水真澄は業界関係者にマヤを売り込み、
マヤを潰そうと企む大女優・山崎竜子にはCMの海外ロケや大作映画の出演を持ちかけ懐柔、
そしてどさくさに紛れてマヤに紫のバラを渡すことにも成功。

里美茂の乱入と突然の恋人宣言により、
速水真澄は素手でカクテルグラスを潰し割るほどのショックを受けるも、
結果としてマスコミの注目を集めたのだった。

ちなみにこの映画「白いジャングル」
当初はアイドル歌手・巴万理が主演の予定であったらしい。
大都芸能が割って入ったことによって主役交代となり、
マヤは巴万理の狂信的なファンの嫌がらせを受けたのだった。

しかし、この巴万理さん、
どちらかというと「綺麗系」のキャラクターであり、
白いジャングルの冒険少女とは結びつかない。

巴万理が主役だった「白いジャングル」もとても気になる。

母に見せた最初で最後の勇姿

マヤの母親・北島ハルさん。

  1. 一人娘家出
  2. 肺結核
  3. 療養所送りで体良く解雇
  4. 脱走行き倒れ
  5. ほぼ失明
  6. 長野の病院に送還
  7. 大都芸能により監禁
  8. またしても脱走

という波乱万丈の人生を人知れず送っていたが、
脱走の道中、マヤが女優として大活躍していることを聞く。
マヤに会うため東京へと向かうが途中ひき逃げに会い、
最後の力を振り絞って映画館へと向かう。

あれほどマヤが母に見せたいと願った自身の演技、
そして母が見たくても見れなかった娘の演技。

果たしてその勇姿をわずかでも見ることができたのだろうか?
マヤの声を聞きながら、母は映画館で生き絶えたのだった。

映画のクライマックスで人が死ぬ。
劇中ではなくリアルに客席で。
その場におった観客にとってはトラウマだろう。
まさかこの女性がマヤの母親だとは知るよしもなく、
今後マヤの出演するテレビや舞台を目にするたびに、
映画館の惨劇を思い出すのだろうか。

そしてこの母親の最後が、
「フランダースの犬」のラストシーン、
ネロとパトラッシュが天に召されるかのように
ええ感じで描写されているのがまた切ない。

まとめ

映画として、女優・北島マヤとして
大成功に終わったこの「白いジャングル」
しかし、劇場で力尽きた母親の死が、
マヤの今後の女優人生を大きく左右するのであった。

 - ガラスの仮面・劇中作品データ