ガラスの仮面のおっさん

アラフォーのおっさんがガラスの仮面を読んで聞かせる

「白ばら夫人」ガラスの仮面・劇中作品データ

      2017/02/03

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大都劇場二十周年記念公演
出演:
姫川歌子
姫川亜弓
市川染二郎・加藤強・稲刈正雄
演出:不明
劇場:大都劇場
主な観客:北島マヤ・桜小路優・劇団オンディーヌの雑魚団員

北島マヤの終生のライバル・姫川亜弓。
映画監督の父、大女優の母を持つサラブレッドはこれまでも天才子役として活躍してきたが、
ついの本格的に女優としてデビューする作品である。

奇しくもマヤが月影千草に対し、

「あたし女優になります!」

と言った(言わされた)のと同じ日に、
ホテルグランドロイヤルで記者会見が行われた。
おそらく大都劇場の二十周年記念公演。
制作発表では母の姫川歌子が中央に座り、横に亜弓がいることから
姫川歌子が主演であると推測される。

記者会見の中で亜弓は母をも凌ぐ女優になることを宣言、
母娘共演にマスコミも色めき立ち、稽古場にも出入りするほどのフィーチャリング。
市川染二郎・加藤強・稲刈正雄といった
演劇界の重鎮と思しき役者が稽古場にいることからも
大都芸能の威信をかけた大作であることが想像される。

マヤは先日仲良くなった劇団オンディーヌの桜小路優に連れられ稽古場を見学。
そこで亜弓から紅天女の存在と劇団つきかげ創設の経緯を聞かされる。

肝心の本公演は連日大盛況。
可憐な令嬢役の亜弓は14歳とは思えぬ演技力で人気集中、
当日も前売りも売り切れるほどだ。

マヤは桜小路優にチケットをゲットしてもらい観劇に成功。
劇中は桜小路くんの存在も忘れるほど芝居に集中し、
カバンを拾ってくれた桜小路くんを呆れさせるほど。

生オーケストラによる演奏。
亜弓の達者な芝居。
母娘共演。

作品の詳細はこれだけしか描写されてはいない。
しかしこの前後では核となる人物の心の動きが描写されている。

マヤのライバル・亜弓が大都芸能の全面バックアップを受け本格的デビュー。
その頃マヤは劇団つきかげのCクラスという末端の役者見習いに過ぎない。
美貌・実力・才能・血統・事務所パワーと全く非の打ち所がない亜弓が
マヤのライバルとして登場してくるところにこれからのマヤの成長を期待させる。

そのマヤも何度か亜弓と出会い、その実力を見せ付けられてはいるものの
亜弓もマヤの実力の片鱗を垣間見ることで徐々にマヤへの意識が強くなっているのだ。

二人がのちに戦うことになる「紅天女」について
亜弓の口から語られるのも興味深い。
それを聞かされたマヤは全くと言っていいほど当事者の感覚はないのだが。

そして桜小路優と速水真澄のやり取りが秀逸。
劇団オンディーヌつながりで、マヤにいろいろ手配してくれる桜小路優と
大都芸能のトップ速水真澄。

桜小路の直接的な支援や援助とは異なり、
速水真澄のそれは肩書きを利用したやり方で好対照。

しかもマヤと日に日に親しくなっている桜小路くんに対し、
日に日に嫉妬を感じている描写が面白い。

稽古場見学をセッティングし、
売り切れるほど人気のチケットをゲットし、
観劇中に落としたカバンを拾ったものの持たされ続け、
アイスクリームを渡しても無視される。

マヤが気になる桜小路くんと、
芝居が気になるマヤ。

そのすれ違いの始まりであり、
振り回され方がハンパない。

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