ガラスの仮面のおっさん

アラフォーのおっさんがガラスの仮面を読んで聞かせる

「通り雨」ガラスの仮面・劇中作品データ

      2019/04/27

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出演:
佐藤ひろみ 北島マヤ

演出:北島マヤ
脚本:吉沢ひろし
照明ほか:吉沢ひろし、草木ひろ子
協力:美術部・工作部有志数名
観客:演劇部員、その他生徒、教職員多数。

日時:○月✖️日 土曜日 PM2:00開演
劇場:一ツ星学園・北校舎裏体育倉庫

前回「女海賊ビアンカ」で大好評を博したマヤ。
「女海賊ビアンカ」の再演にとどまらず、
学校には「他の芝居を見たい」との要望も。

数多くの候補作品の中からマヤが選んだこの作品
「一ツ星学園土曜劇場」と題し、マヤの一人芝居が再び始まった。

あらすじ

おしゃまな妹に陽気な兄、
小言は多いが優しい母、そして父。
平凡な女子高生・佐藤ひろみ。
ある日の帰り、通り雨に遭い雨宿りをした喫茶店にて、
父と見覚えのある女性の姿を見る。
涙ぐむ彼女の手を取り何かを約束した父。
会社の女性と数年にわたり不倫をしていた父。
家族を捨てる決心をしたのか。
誰にも相談できず、父親の会社を訪れるも何も言えず、
ついに不倫相手の自宅に乗り込み、思いの丈をぶつける。
ひろみの剣幕もあってか、「決心がついた」と故郷で見合いをする決意をした不倫相手。
何もかも元どおり。いつしか雨は止んでいた。

つまらないと評判のシナリオ

脚本の吉沢くんも、演劇部部長も揃って
「平凡でつまらない」と評価するこの話。
マヤ自身も「平凡だからこそ演技力が問われる」と評している。
ところがどっこい、この話、ツッコミどころは満載でかなりおもろいと思う。

まず娘の通学圏内で
不倫相手と将来の約束をする父。脇甘すぎ。

父を家まで送ってきたり、駅で見送ったりと
やたらと生活圏内に現れる不倫相手。怖すぎ。

いきなり娘が父親に会いに会社を訪れる。
どんな会社やねん。どんな仕事やねん。

そして不倫相手の住所を従業員の娘に理由もなく教えてしまう会社。

父親に家族を捨て自分と一緒になる決意をさせたにも関わらず、
「決心がついた」と故郷での見合いを選択する不倫相手。

極め付けは父親の裏切りを知ったにも関わらず
「父さんの心にも通り雨」とかわけわからんこと言って
「すべて元どおり」と解決する娘。
心の通り雨ではすまされないし、元どおりでもない。

地味にこの話、このあとが気になる。

パントマイムが炸裂

マヤがこの平凡な話に必要な演技力を養うため、
必死で稽古したのがパントマイムである。
平凡な女子高生、佐藤ひろみの心と日常をつかむべく、
顔を洗う、歯を磨く、バスに乗るなど日常の些細な動きを再現、
その精度は演劇部長や吉沢くん草木さんを驚愕させるほどであった。
セリフは二度読んだら覚え、役の気持ちも難なくつかむ天才マヤ、
自由自在の「パントマイム」を身につけたことで
才能に加えて新たな武器を習得したのである。

名解説者・演劇部部長

このシリーズの功労者は演劇部部長である。
マヤの芝居へのアプローチや考え方、
そして劇中の描写や心情を読者に向けて見事に解説してくれている。

従来この役割は青木麗の担当であったが、
マヤと潜在的に敵対している演劇部部長が解説することで
マヤのすごさを引き立てている。
時には劇中のセリフかと思うくらいの食い気味で解説を放ち、
「平凡な話」と知っているはずのストーリーにも驚愕。
しまいには、演劇部の文化部研究発表会に客演での出演を依頼するまでに。
すっかりマヤのファンである。

まとめ

というわけで今回もマヤの芸の肥やしとなった吉沢くんと草木さんに加え、
演劇部部長という新たなる肥やしが加わったのであった。

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